私立・中高一貫校・男子校
学科:普通科(特別進学クラス、国公立クラス、進学探究クラス)
藤田先生 :
多くの研究会に出席したり学校の方向性について考えていく中で教育現場のICT化は避けられないなと感じていました。その中で他校の様子を見てからでは遅いと思い、自分達でICT活用を進めていこうと学校全体で動き出しました。
その中で本校におけるICT導入の狙いは大きく2つあります。1点目は教員の指導負担を効率化すること。2点目はタブレットを活用し、校内の連携やコミュニケーションを密にすることです。しかし、タブレットを軸にICT化を進めるにあたり、他校の様子を聞いてみると校内LANを構築して、タブレットは学校内での貸し出しのものとして使わせているケースがほとんどでした。
それでは環境整備のための初期投資が大きくなるのに加えて、活用が学校の中に限定されてしまいます。この点を解決するために通信機能付き(セルラータイプ)のタブレットを導入することにしました。
また、タブレットありきで導入しても結果的に使われなくなってしまうのではないかと考え、
という2つの視点から「Classi」も一緒に導入することを決定しました。
中島先生 :
また生徒達には学習記録を使った学習時間の記載や校内グループを使った連絡共有から使わせました。
元々の狙いは、情報共有の効率化や負荷の軽減だったわけですが、1年間使ってみると一つひとつの活用が応用されていき、活用の幅やメリットが広がりました。
例えば学習記録についても、ただ学習記録を付けるのではなく、学習記録の中に先生からコメントや進路情報のリンクを貼って送ると生徒から普段では聞けないような深い考えのコメントが返ってきたり、学習時間が上がっていく効果を見ることが出来ました。学習記録の生徒のコメントは紙の時は、誰かに見られてしまうという気持ちや朝の会での記載と提出ということで時間も限られていました。しかしWeb上にしたことで誰にも見られないという安心感と時間的な制約ないため生徒のコメントや質問も深くなりました。教員側としてもスピーディーに生徒の声を拾うことができますし、普段話に来ない生徒でも本音を聞ける機会が増えたと思います。このような効果は活用が進まないと実感できなかったと思います。
職員向けのICT活用推進報
藤田先生 :
導入時から使う教員と使わない教員で温度差が出ることは予想していました。しかし、ICT活用は学校全体で進めていかないと効果は生まれないですし、私達管理職が学校としての方向性を示さないといけないと思い私自身積極的に使っていきました。
まず、学校の方針として、校内の情報全てをClassi上に集約し、情報共有として使う機会を作りました。活用のメリットや活用事例を校内でシェアしながら進め、強制的に使うのではなく全体で使っていこうという雰囲気を作るように意識しました。
中島先生 :
校内の活用を浸透させる最大のポイントは、「みんながICTを使わざるを得ない状態」を作ることだと思います。ですので最初はハードルの低い情報共有から使い始めました。
また、使い方やルールを学校全体で作り、改善していこうと考え、教員主体のICT委員会という組織を作り情報の集約やルール作成を行いました。その中で「ICT活用推進報」という情報発信をして、活用促進を継続的に進めました。導入時は「導入スケジュール」などがテーマでしたが、今は「授業での活用」や「生徒会からのタブレット活用の提案」など時期にあった情報を発信しています。
藤田先生 :
アクティブ・ラーニングもICT活用も理想を広げすぎたり、使うことが目的になってしまうと上手くいかないと思います。私の授業では、授業の導入時に素材を生徒に配信したり、アンケートを集計した画面を見せて興味を持たせてそれを元に議論させたり、家庭学習や授業の最後にWebテストを使って復習させたりと、今までの授業を補完するような形で使っています。
中島先生 :
私は3年生の授業の中で、Webテストを多く使っています。これまでは、センター演習の際にはいつも「問題作成・配布⇒生徒に解答⇒解答解説の配布⇒自己採点⇒集計・分析」という流れで非常に手間をかけていました。
ただマークシートの解答であればClassi上でできますので、今では問題のみ紙で配布を行い生徒の解答はClassi上で行わせています。これにより解答解説や自己採点の時間が大きく省け効率的に授業が行えました。Web上で続けるうちに集計結果が残りますので、「どの分野が弱点なのか」「どんなミスをしているのか」「解答スピードはどれくらいなのか」など紙の指導だけでは見えない部分まで可視化することができ、指導が深まった実感がありました。こういった指導も継続的に使ってみないと見えない効果だったと思います。今ではその正答率の結果を元に、弱点に合わせて動画や問題を配信して復習させたり、生徒の弱点に合わせた学習を勧められるように指導しています。
藤田先生 :
まず成果として、学校全体で使う形ができてきたことが挙げられます。1年間使ってみて、教員向けの活用に関するアンケートを行った所、ほぼ全員の先生が期限内にアンケートに回答してくれましたし、今後も積極的に活用したいという項目が多数を占めました。1年間で活用が軌道に乗ったと少し安心したところです。
中島先生 :
狙い通りコミュニケーションの質は深まりました。グループ内でのコミュニケーションややり取りも非常に活性化していますし、生徒達も私達の予想以上に自分達から活用の形を考えてくれます。また生徒によってはWeb上の方が話しやすい生徒もいるようで、SOSを出して相談してくれる生徒も増えたように思います。
面談の際もClassi上には成績から学校生活全体の情報が入っていますので、成績だけではなく、学習状況や授業での態度など生徒のことを深く理解しながら面談することができ、進路指導の形も変わってきたように感じます。今後は保護者も同じようにグループ内で活用を促進させ、教員・生徒・保護者が上手く繋がっていけるプラットフォームを作っていきたいと思います。
草野先生 :
もう1つClassiの活用から出てきた成果物が学校パンフレットの中にある「出身中学へのメッセージ企画」です。元々校内グループの活用が盛んで、出身中学校毎のグループがありました。そのグループの中で母校の中学生へのメッセージを送るという企画を行いました。夏休み中の企画だったにも関わらず、グループの中で生徒達にお願いするとすぐにメッセージを作ってくれて学校案内のパンフレットに反映することができました。パンフレットを見せながら、ICTを使ってこのような企画を行ったという経緯を話すと中学校の先生や塾の先生方も驚かれますし、非常に評判の良い企画となりました。
生徒A :
私達生徒会は学校行事の企画・立案や運営など行っています。ただ生徒会全体では60人もいる大きい組織です。会議を行うにも全員が同じ時間、同じ場所に集まるのが難しいことが多くあります。そこでClassiの生徒会グループの中で、会議で使う資料を事前に共有したり、どちらの企画にするかアンケートを取って決めたりとWeb上での会議という役割で活用しています。
生徒B :
特に便利だったのは、生徒会誌という部活動や委員会活動を紹介していく冊子を発行する時でした。今までは毎回先生や生徒に執筆の原稿の修正をお願いしたり、とりまとめたり、非常に手間がかかりました。しかし今回はClassiのグループ機能を使って、それぞれ担当の先生・生徒にWeb上で原稿を依頼したり、編集したりすることができたので効率的に作業ができました。
Classiの使い方を自分達で考えて応用することで、生徒会活動という仕事を効率的に進められている実感があります。コミュニケーションの量も増えたので団結感が強くなった気がします。
生徒会からのタブレット活用提案
生徒C :
私は主に復習をするためにClassiを使っています。授業で使ったWebテストはもちろんですが、その類題や自分の苦手分野を集中的に解くようにしています。進研模試の結果などが1年生の頃からずっと残っているので、弱点分野と解くべき問題がすぐわかるのもWebならではだと感じます。
生徒D :
私達のクラスでは朝9時までにClassiに学習記録を入力するルールになっています。クラスの中で入力していない友達がいたら声をかけあったり、クラスでルールを作っていきました。昔は冊子に学習時間を記入していましたが、Web上で行う事で自分がどれだけ勉強しているのか、どの教科に偏っているのかなど把握できるので入力するのが楽しいです。何より勉強を頑張っていると担任の先生や副担任の先生など多くの先生からコメントをもらえます。やはり個別にメッセージをもらえると嬉しいですし、励みになります。
またランキング機能を見ると他の友達の様子も見れるので刺激になりますし、競っていく中で勉強時間が少し増えた気がします。
生徒会での活用の様子
中学別パンフレットの生徒からのメッセージ
学校全体で組織的にICTを活用
今後に向けて
学校情報
長崎南山中学校・高等学校
(長崎県)
学科 | 普通科(特別進学クラス、国公立クラス、進学探究クラス) |
---|---|
規模 | 中学校 1学年65名、2学年58名、3学年54名 |
進路状況 | 東大1人、大阪大1人など国公立大70人合格(2015年度) |