私立・中高一貫校・共学
学科:アカデメイアコース(高大一貫教育コース)、フロンティアサイエンスコース(医学系・理科系進学コース)
伊藤先生 :
2014年度から、高校1年生と中学1年生でiPadを導入し、2016年度には中高の全生徒にタブレットが行き届きました。タブレットには端末を制御するMDM(モバイルデバイスマネジメント)も入れて使用しています。
学校環境としては、補助金を活用して段階的に整備していきました。まず2014年の5月に高校1年生と中学1年生の全教室に、そして同年の夏休みに、全館のWi-Fi環境を整備しています。
國領先生 :
導入の理由は大きく2つありました。
1つ目は、生徒の家庭学習時間を増やすことです。 Webテストを活用し、授業で取り上げられなかった問題を配信することで、家庭学習と、不足している問題演習、その両方の時間増加を図りたいと考えたからです。
2つ目は、アクティブ・ラーニングのツールとして、校内グループを使うことです。校内グループを使った情報共有は、導入当初に比べ大幅に進化しており、今では生徒同士の学び合いの場となっています(後述参照)。
左より: 國領正博先生(理科)、伊藤久泰先生(情報・数学)
伊藤先生 :
今年から導入した中学校ではWebテストだけでなく、学習動画と組み合わせた活用に挑戦しています。これまでは、生徒の学力向上や学習習慣の定着をすべてWebテストの活用で行っていましたが、テストはあくまでテストなので、教員が生徒の把握を行う全体指導としては効果的でしたが、個別指導としては、不十分な状態でした。
そこで、Webテストだけでなく、学習動画と組み合わせることで、新しい学習サイクルを作り、学習習慣を定着させる取り組みに切り替え、実施しています。
導入3年目を迎えた高校では、スタディーサポートの結果に応じた動画をゴールデンウィーク期間の課題として取り組ませたりしています。中学校でも予習・復習など家庭学習で身につけてほしい基礎学力の向上は、学習動画・Webドリルを活用し、問題演習などより深い学習や難易度が高いものは、授業や宿題として取り上げるようにしました。
家庭学習と授業で基礎学力と学習習慣の向上
國領先生 :
Webテストは、「学習後に定着度を確認するための課題」として位置づけ、生徒の新しい学習サイクルとしての定着を目指しています。
この取り組みを始めたことで、生徒の学習スタイルが変わりつつあります。これまでは、わからない問題が出たときに教科書を読み返していましたが、それが学習動画の視聴に変わり、動画を見た内容が理解できているかをWebドリルでチェックするようになりました。また、理解が進まない場合には、教員や生徒に校内グループで質問し、最後に自分の定着や弱点を把握するために、確認テストとしてWebテストに取り組むようになりました。「生徒自身が模索しながら段階的に理解を深めていく学習」が実現し、学習習慣の定着だけでなく、基礎学力向上にも役立っています。
また、この取り組みで、さらに新しい効果が生まれています。授業と家庭学習の役割が変化したことです。授業では、40人が1教室にいるメリットを生かした協働的な学習を中心に進めているため、一人ひとりに合わせた基礎学力向上までは時間が取れませんでした。
学習動画を取り入れたことで、家庭学習の中で生徒自身が学習動画とWebドリルで自分のペースで学習することができるようになり、一定の基礎学力を身につけることができるようになりました。これにより、「基礎学力は家庭学習の中で」、「授業は協働学習の場」となっており、家庭学習と授業の相乗効果が出て、学習スタイルがどんどん進化しています。
映し出された問題と自分の解答状況を確認している様子
授業中に正答率や誤答例を取り上げて解説する様子(2015年度取材時)
伊藤先生 :
一人1台タブレットが中高全学年で整備できたので、学習記録を使った学習習慣の定着に取り組んでいます。
4月から全学年で学習記録の取り組みを実施しており、生徒には毎日登録させ、朝のHRの時間に、生徒の学習記録を教員が確認するようにしています。
この取り組みを始めたことで、学習時間を可視化することができ、生徒への声かけ指導も以前より具体的になりました。
これまでは、学習時間の内訳までは把握できていなかったのですが、学習記録を活用することで、どの教科にどれくらい取り組んでいるかを把握することができるようになりました。
学習記録の画面イメージ
國領先生 :
「1教科だけに取り組んでいる生徒には教科バランスを意識させる」「バランスは良いが学習時間が短い生徒には時間を延ばすよう指導する」など、声かけの内容が、より一人ひとりにあった指導へと変わっています。
また、生徒も学習記録をつけることで、自身の勉強時間がわかり、振り返りや推移の把握をしやすくなったので、学習記録をつけるだけでなく、生徒自身で学習をマネージメントする力を身につけさせることにも役立っています。
生徒カルテ(学習時間推移)の画面イメージ
伊藤先生 :
生徒や教員のコミュニケーションの活性化のためにClassiを導入した経緯もありました。今では、校内グループは、教員と生徒・生徒同士の情報共有のためになくてはならないツールとなっています。
國領先生 :
現在は、教員・生徒間で利用できる「教科の部屋」という校内グループを作って活用しています。このグループは、授業でわからない問題があった場合に質問をするための部屋で、生徒同士で質問し合ったり、回答し合えるようにもしています。
このグループを作ったことで、2つの効果がありました。1つ目は、生徒が他の生徒の書き込みを見ることで、刺激し合うことができ、また、意見交換ができるようになっていることです。2つ目は、どこで生徒がつまずいているか、教員が書き込みを確認することで把握することができるようになり、授業・指導にも反映されるようになっていることです。
國領先生 :
この校内グループで、試験前の生徒と教員のコミュニケーションも変化しています。授業中に出てきた質問やよく出る質問は、教員側から「教科の部屋」に投稿するようになりました。内容によっては、黒板の写真を載せるだけで全クラスの生徒に伝わるので、同じような質問が減りました。
具体的には、以前は、テスト前になると生徒からよく同じような質問を受けていたのですが、質問に来た生徒へ「Classiの投稿を見た?」というコミュニケーションに変わり、質問に来る生徒が減るという状況です。
今では、試験前になると、生徒は、校内グループを検索してから、テストに臨んでいます。
校内グループを使って生徒が先生へ質問している様子
伊藤先生 :
校内グループを使い、教員から生徒へ資料を配布したり、情報共有のツールとしても活用したりしています。
先日もClassiの校内グループを活用し、生徒総会の議案書を生徒へ共有・配布しました。これまでは、紙で配布をしていたので、印刷・配布に時間がかかっていましたが、Classiで一斉配信することができるので、印刷時間の削減やペーパーレス化にもつながっています。また、Classiを使うことで、配布資料や、共有した情報を蓄積することもできており、生徒総会の振り返りや報告資料の作成にも役立っています。
タブレット持参で、生徒総会へ参加している様子
左:生徒総会の資料をClassiを使って配布
右:実際に校内グループで配布された生徒総会での資料
國領先生 :
3年前と比べ、ICT活用は着実に進んでいます。Webテストを使った取り組みも、学習動画を取り入れることで進化し、生徒の基礎学力の向上と協働学習の発展につながっています。
今後は、生徒自身で個の力を伸ばすために必要な、「学習をマネージメントする力」を育成したいと考えており、Classiを使ったアダプティブラーニングを取り入れていく予定です。また、Classiを学習ポータルとして位置づけ、「学習記録を使ったポートフォリオ」・「生徒同士・生徒と教員・教員同士のコミュニケーションツール」として、さらに発展させていきたいと思っています。
Classi 導入3年後の指導の変化と進化
今後に向けて
学校情報
立命館守山中学校・高等学校
(滋賀県)
学科 | アカデメイアコース(高大一貫教育コース)、フロンティアサイエンスコース(医学系・理科系進学コース) |
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URL | http://www.ritsumei.ac.jp/mrc/ |