私立・男女共学
学科:国際類型、特進コース、進学類型
Classi利用歴:2015年度より
倉成先生:
私自身は、10年前くらいからICT への可能性を感じていました。最初は他社のツールを用いて、保護者との連絡機能として使っていました。その後、問題配信としての利用にも手を広げます。しかし、問題は教師が作成して送らなければいけませんでしたから、結局、機能はありながらも活用しきれませんでした。また、動画1本1本が長く生徒が自宅で視聴しきることができなかったり、弱点に合わせて動画をピックアップしにくかったりし、システムを使いきることができませんでした。
苅込先生:
動画には確かに学習効果があります。しかし、動画を見ると「わかった気になる」というマイナスポイントもあります。結局緩やかにインプットしてもアウトプットする機会が設けられていなかったので、生徒の学力を十分に定着させることができませんでした。
倉成先生:
3年前にタブレットを導入することを校長が決定しました。それを、現場でどう使いきるか試行錯誤することとなります。Classiであれば、進研模試の結果と連動できますから生徒の学力データの管理がしやすくなります。また、その頃には、他社の問題配信や動画システムの課題が見えていたので、Classiであればそれをクリアできると感じ、導入することを決めました。
また、2020年の大学入試改革に対応するためには、ポートフォリオ機能が欠かせません。そこで、まずは特進コースで使用をスタートし、その後1年生すべてのクラスで活用することに決めたのです。
校長先生:
年次進行で3年間かけてWi-Fi 環境を整え、生徒にはタブレットを自由に使えるよう整備しました。また、現在はスマートフォンでも画面が大きいものが出てきているので、私物のスマートフォンを辞書代わりとして学習に使用することも認めてきました。全教室にプロジェクタとスクリーンも置き、よりアクティブに学べる環境を整えていきました。
坂根先生:
最初は、生徒に学習記録を自宅でつけさせようと考えていました。しかし、生徒に任せっきりにするとなかなか入力してきません。いくら機能があっても入力しなければ意味がありません。そこで、校内で生徒に入力するよう促していきました。
苅込先生:
校内では、大きくは2つの使い方をしています。1つは、朝学習での使用です。もう1つは、反転授業を実現するツールとして使用しています。
苅込先生:
導入当初は、生徒にClassiに触れさせる機会を増やしたいという思いから、Webドリルを朝学習に導入しました。今では、生徒が自分の弱点に合わせて活用しています。例えば、数学が苦手な子は中学時代からの積み上げができていない可能性が高い。そこで、学び直し教材としてWebドリルを活用しています。他にも、英文読解の絶対量を増やすために、なるべく辞書を引かずに英文を読むトレーニングなどもおこなっています。
Classiであれば一人ひとりの弱みや抜け落ちているところに合わせて、対応できると感じています。本校でも、アダプティブラーニング(個別適応学習)の必要性を感じていましたから、Knewton エンジンで生徒の理解度に合わせて異なる問題を解けることは指導の非常に大きなポイントとなっています。
今では、朝のホームルームに行くと、生徒が黙々とタブレットに向かっています。自学の姿勢や集中力を養うことにもつながっていると感じています。
朝学習の風景
坂根先生:
他社のツールでは、一斉にクラス全員に同一の問題を配信しなければいけませんでした。しかし、Classiは生徒個々に合わせた課題が配信できます。生徒も自分の目標に合わせて取り組めるので、やりがいを感じているようです。
教師は、作問や様々な資料から問題を探す必要がなく負荷が少ないので、継続的な取り組みにしていきやすいといえるでしょう。今後は、Webテストをより本校の生徒に合った形に改訂して蓄積していきたいとも思っています。自校バージョンにしていくことで年度を経るごとに、どんどん使いやすくなっていくでしょう。
朝の7:20 になるとWebテストが配信されます。毎日、配信される教科は変わります。問題の種類がたくさんあるので、毎日違ったものに取り組むことができます。中学時代はタブレットを使ったことがなかったので、最初はうまく使えるか不安でした。しかし、実際に使い出したら成績も上がり、自分に合っている勉強法なのだと痛感しています。
Classiは毎日朝学習で使っています。例えば、英語では、みんなが苦手意識を持っている長文の問題が配信されます。私たちにとって課題となっている問題がピンポイントで配信されるという特徴があると思います。短い時間で解くので、集中力が必要です。これを毎日積み重ねているので、自信になっていると感じています。
坂根先生:
私の国語の授業では、Classiをグループワークで使用しています。記述問題に取り組ませる時に、授業の前日までにClassi に問題を投稿して生徒に解かせておきます。その画面では、無記名で解答一覧が見られるようになっています。クラスメイトの解答を踏まえ、グループワークで最適な解答へと仕上げていきます。このように、私は生徒同士の学び合いや教え合いでClassiを使うことが多いです。また、古文や漢文などは授業の復習としてWeb テストに取り組ませています。
国語科の記述問題の生徒解答例
苅込先生:
坂根先生のように、アクティブ・ラーニングのツールとしてClassiを活用することは有効ですね。高校生が自分の意見をリアルな場で表現することは難しいものです。一方で、Classiという仮想空間では自分の意見を表明しやすいのです。さらに言うと、他の人の意見を聞き、それを自分の意見に反映することもしやすいはずです。本当は直接つながり合えるのが一番だと思いますが、Classiがあることでつながり合う、学び合うきっかけになると思います。
私は今、日本史を担当していますが、授業の前に動画を配信して予習をさせ、知識が入っていることを前提に授業するということをしています。反転授業として、事前に動画で単純な説明や基礎的な事項は抑え、細かい解説が必要な部分や教員のオリジナリティを発揮した方が定着を促しやすい部分に関しては授業でおこなうこととしています。これにより、効果的に学習を促していくことができるようになりました。
また、生徒が前に出て黒板に書いて発表するとなるとそれだけで時間が取られてしまいます。Classiでは生徒が記入すればすぐに共有することができます。効率的な授業ができる点も特長ですね。
坂根先生:
単元を細かく分けて、それぞれの動画が完結しているので生徒が視聴しやすいです。古典の文法など基礎的な部分、答えが変わらない部分に関しては、動画に委ねることができています。
苅込先生:
カルテから生徒が苦手な単元や分野を把握し、その弱点に合わせた動画をピンポイントで配信することができます。長い動画だと必要な部分を選択するのが難しいものです。Classiは、3分や5分の動画が多く、長くても30分程なので生徒に見ておくように促しやすいですね。
古典であれば、古典文法や敬語など細かく分野に分かれて動画があります。そのため、わからないところがあると、すぐに立ち戻ることができます。また、動画の内容もわかりやすくて、勉強がしやすいです。
世界史で授業の中では触れられなかった部分を動画で配信してもらい、家でその動画を観て、プリントにまとめて勉強をしています。また、動画であれば電車などの通学時間にも見ることができます。1日のすべての時間を勉強に使えるので、学習効率が上がりました。家で勉強時間がとれなかった分を通学の時にやろうなど、時間のやりくりができるようになりました。学習がどこでもできるという考え方や習慣が身についてきたと思います。
苅込先生:
教師が強いているわけではありませんが、生徒のClassiの利用率はどんどん上がってきています。生徒が何の勉強をしているのか、どのくらい勉強をしているのかも、Classiを見ればわかります。つぶさに状況把握ができるからこそ、授業や生徒の指導に役立てて、成果につなげていくことができるのです。
校長先生:
本校では、10数年前から「個別情報一覧表」を作成してきました。そこに、進研模試の結果や各定期テストの点数、本校独自でおこなっている年間5回のレギュラー面談の内容、そして、気になる点があった時におこなうイレギュラーな面談の結果を入力していました。どの教員でも、すべての生徒の個別情報を見ることができます。これがあれば、クラス替え後もスムーズに担任同士でデータを引き継ぐことができます。
本校の大学進学率はもともと55%程度でしたが、「個別情報一覧表」を導入した5、6 年後には85%くらいが大学・短大に進学するようになりました。自分の過去と向き合う姿勢ができてきたことが、実績の伸びたポイントだと思います。Classiでポートフォリオを作成するようになることで、より必要な時に必要な情報を取り出すことができるようになるはずです。
坂根先生:
学年を飛び越えて学校全体で一人の生徒を見ることで、教員間での口頭のやり取りがスムーズになるはずです。現1年生は2020 年の大学入試改革に直面する年代。未だ、教員の中でも指導の改善に対して、前向きな人とそうでない人がいますが、ついていかなければ取り残されてしまいます。今は、教育機関としての危機感を高めていかなければいけない時でしょう。生徒を十分な力を備えて社会に送り出していくために、学校全体でポートフォリオを軸とした指導体制を築いていきたいです。
中熊先生:
私は、生徒がこれからの社会で生きていける力を養う教育をしていきたいと思っています。AIにできないことができるような子を育てたいですね。それには、自分で考えて、自分で行動してみるような力を育まなければいけません。ポートフォリを導入すれば、アクティブ・ラーニングに展開させるなど指導の可能性も広がっていくはずです。また、本物の英語の力を身につけていくことも今後の社会では重要です。本校の英語の模試の結果は着実に上がっています。これからも使える英語をどう身につけさせるか試行錯誤を続けていきたいと思っています。
校長先生:
本校には、スポーツに情熱をかたむける子や難関大学を目指す子など多様な生徒が在籍しています。世の中には、いろいろなタイプの、いろいろな学力の子どもがいます。その縮図が浦和学院にはある。Classiを導入し、高大接続改革に対応していくことはもちろん必要ですが、それ以上にこの多様性の確保こそが重要だと考えています。自分で選ぶことで、自分を鍛えていく。その選択の履歴を自分の人生であると振り返れるようになってほしいです。生徒の多様性を担保し、社会に送り出していくために、学校全体でClassiを自在に操れるようになっていきたいと思っています。
Classi 導入で、アダプティブラーニングと反転授業を実現する
今後に向けて
※2017年取材
学校情報
浦和学院高等学校
(埼玉県)
学科 | 国際類型、特進コース、進学類型 |
---|---|
規模 | 1年 957人、2年 1,002人、3年 931人 [2017年度] |
進路状況 | 国公立大 18人、私立大 889人 [2017年度] |
URL | https://uragaku.ac.jp/ |