導入事例

校内グループ
強い当事者意識と地域復興をテーマに進めた探究活動と協働学習
福島県立ふたば未来学園高等学校
福島県立ふたば未来学園高等学校
取り組みのポイント
  • SGH校として地域の復興をテーマにした探究活動を実践
  • 校内グループに日々のレポートを蓄積し、生徒自身が振り返る機会を作る
  • 外部テストと生徒のレポートを使い、探究活動の評価・検証まで実践

開校と同時にSGH指定校に。新たな教育活動にチャレンジ

  • 貴校は開校と同時にSGH校に指定されました。

    對馬先生 : 本校が開校された際に進めなくてはいけないミッションは大きく2つありました。1つめは原発事故から最も近い学校ということで、「教育」を通じて、人の心を復興させる役割です。学校という小さい空間ではありますが、震災を経験したからこそできる人材教育があると自負して日々教育活動を行っています。
    2つめは、新たな教育活動にチャレンジすることです。日本の産業構造の変化により、求められる人材像が変わり、教育改革が進んでいます。本校は新設校だからこそ他校に先駆けて新しい教育活動、特に探究活動に学校として取り組むことを目指していました。
    上記2つの観点とSGHとして求められる点が合致したために開校と同時に指定校として活動していくことになりました。

  • 貴校の取り組みの特徴について教えてください。

    對馬先生 : 社会で活躍している人たちは「多くの学びを通じて得た知識を組み合わせて、応用することができる人」だと思います。本校ではこのような力を育成するために、教育活動の中で様々な人達と協働し、チームを組みながら最大の効果を導けるようになってもらえることをゴールに、探究活動のカリキュラムを考えています。
    具体的には、1年次に地域に目を向けて、自分事として考えることを目的に活動を行います。2年次以降には探究班ごとに各自のテーマについて掘り下げ、世界・地域への提言を行うことをゴールに活動を進めています。本校の特徴的な活動としては、1年次に「演劇」に時間をかけて取り組みます。普通の演劇とは違い、社会問題や地域の課題をテーマにした演劇です。登場人物の立場が変わることで見え方が変わる点や社会問題の根深さなどを生徒達に演じさせ、見ている人に課題提起する活動です。演劇を通じて、生徒達の当事者意識・コミュニケーション能力・批判的思考力の育成など、かなり深い活動ができていると自負しています。

「体感」と「協働」をキーワードに当事者意識を持たせる探究活動

  • SGHの活動は2年目ですが、先生方が意識している点はどこですか?

    小林先生 : 探究活動の中で感じたのは、生徒自身の当事者意識が生まれないと探究活動は上手く進まないということです。著名人の講演会や調べ学習などで一時的に意識が上がっても、いざ課題を掘り下げたり各々でまとめる活動に入った途端に考える力がなくなり、活動が進みません。ただ、演劇やフィールドワークなど具体的に体感しながら考えないといけない機会を無理やりにでも作ることで、テーマに対して生徒達の当事者意識が生まれ、なぜこの活動を行うべきなのかの動機を引き出すことができます。何がしたいのか、何を伝えたいのか、の動機が生まれると探究活動は上手く進んでいくものなのです。またそういった動機や考えをチームで共有することも学校だからこそできる活動なので大切にしています。

  • 貴校では探究活動にICTツールを活用しています。

    小林先生 : 本校ではタブレット型PCを一人1台保持しており、調べ学習から資料作成まで各自の端末で行っています。またClassiの校内グループを探究活動に使っています。狙いは大きく2つです。
    1つめは授業外でのコミュニケーションです。校内グループには、探究活動のチーム毎にグループを作成しており、授業以外の時間でも連絡が取れる仕組みにしました。あまり制限をいれすぎず自由にコメントや意見を言い合える環境を作りました。2つめの狙いは、毎週の活動レポートを校内グループ上に入力させて、ペーパーレス化を進めていました。あえて校内グループにレポートを書かせたのは、自分の振り返りや気づきについてのレポートを他生徒達にも共有することで生徒同士でお互いに気づきあい、いつでも振り返ることができるようにするためです。ICTのよさである、いつでも使える点や履歴として残る点の2つのメリットが活きた形だと思っています。

  • ふたば未来学園高校 SGHの概念図

    ▲図1ふたば未来学園高校 SGHの概念図

  • Classi上で探究活動レポート書かせた意図や活用ポイントなどを教えてください。

    小林先生 : 元々は紙レポートのペーパーレス化が狙いでした。ただ、探究活動を行う中で授業で完結してほしくない思いと生徒同士で協働する活動をより広げたいと思いを持つようになりました。SNSのような自由度の中に学びを入れ込むイメージで、校内グループ上で議論したり情報を共有する仕組みにしました。ただ生徒達に自由に使えるからと任せても使われないため、グループ活動後、毎週レポートを書くように指示しました。最初は文章量が少ない生徒も目立ちましたが、活動の中での変化や生徒の目つきが変わった授業を行うとレポート内容が濃くなるなど生徒達の変化を校内グループ上で見ることができました。生徒の変化を全体で共有することができるのもClassiで行う価値だと思います。

    ▲図2 校内グループにレポート記入を行う様子

    ▲図2 校内グループにレポート記入を行う様子

    ▲図3 校内グループ上でのレポート内容の一例

    ▲図3 校内グループ上でのレポート内容の一例

  • 生徒のインタビューでは、校内グループ上での先生からのコメントが嬉しかったという声もありました。

    柴田先生 : 私の所属するメディア・コミュニケーション班では、積極的に発言できる生徒からみんなの前で発言できない生徒まで幅広く存在します。ただClassiで投稿させると多くの生徒が書いてくれるため各々の生徒達が何を考え、感じているのかがすぐに把握できます。できるだけ自分の意見を書いてもらいたいですし、この活動を継続してもらいたい思いで、投稿した生徒のレポートには一言でもコメントを返すようにしました。
    私が心がけているポイントは大きく2つで、1つめはできるだけ発見や理解したことには共感するコメントを記載して、生徒の自己肯定感を高めるようにしています。2つめは、分からないことや今後の取り組みについてのコメントには、できるだけ生徒の実態に合わせたアドバイスを心掛けつつ、自分で考えてほしいので、ヒントになるようなコメントを心掛けています。最初はみんなにレポートを見られることを恥ずかしがっていた生徒達も慣れてくると本音を書いてくれますし、私が反応したコメントは実はしっかり読んでくれているなという感覚を持っています。

  • ▼校内グループ上にレポートを記入
    毎週探究活動の授業終了後から次の時間までに校内グループ上にレポートを記入。
    今年は強制せず、生徒達の自主性を重視して運用。

    ▼ポイント

    ①レポート内容が公開される
    他生徒にレポート内容が見られるため、周りに見られることを意識して生徒も丁寧に書く

    ②レポート内容を振り返る機会を設定する
    年度末のタイミングで年間書き溜めた校内グループ上のレポートを紙にまとめて生徒達に配付。振り返りの場の中で、自分のレポートがどう変化したのかを一覧で見せる

    ③他生徒を意識させる仕組み作り
    レポートの一部にある「今日1番○○だった人」という項目は、協働学習の中で他生徒の動きや考えを丁寧に見ないと書けないため、他者を意識した活動に繋がる

  • 1年間の活動の総括を教えてください。

    小林先生 : Classi上へのレポート記載は、全生徒が書けているわけではなく、運用にはまだ課題が残っています。ただし、成果も見えています。今年受験したベネッセの外部テストGPSの結果を見ると、校内グループ上にレポートを毎回書いている生徒達の「協働的思考力」がほとんどAの評価を得ていました。(※校内で協働的思考力でAを取得した生徒のうち7割以上がClassiを利用したメディアコミュニケーション班の生徒)
    Classiを使ったから評価が高かったというわけではないと思いますが、レポート上で生徒同士で気づきを共有したり、「今日1番○○だった人」を毎週書くことでお互いの活動を意識しますので協働する力を育成するきっかけには繋がったと思います。
    また1年分のClassiレポートを生徒ごとにまとめると生徒の成長が可視化できます(図5)。1度生徒達が泣き出すほど本気で議論した授業があったのですが、その授業以降レポートの文章量が増えるなど生徒の変化が可視化できました。振り返る場を設定することで自己理解やClassiに書いてよかったと感じる機会になったと思います。

    小林先生 : この2年間継続して意識してきた当事者意識を持たせる活動や自分が何を伝えたいかという動機を強める活動が、グループ学習やICTツールを通じて少しずつ形になりました。協働的思考力に繋がる活動が出来た一方で批判的思考力や自己評価とのギャップなど課題もあります。この2つは時間がかかると思いますが、最終学年に上がることで新たな気づきや刺激を与えながら活動を深めたいと思っています。また受験学年になるからこそ、このような活動が教科学力にも繋がることを証明する必要もあると感じています。

    對馬先生 : 生徒達の目つきの変化や成長過程を見る中で本校の行う探究活動に一定の手応えを感じています。今後はルーブリック評価を日々の活動に取り込み、本校としての評価とGPSを使った外部評価との比較の中で、どのような活動が効果的で、どんな力を育成しているのかを明確にしていきたいです。その活動の先に本校らしい教育プログラムが見えてくるものだと思っています。

    図4 GPSとClassiのレポート内容を比較

    ▲図4 GPSとClassiのレポート内容を比較

    図5 ある生徒のレポート推移。強い気づきが見つかった1月10日を境に明らかに内容が濃くなっている

    ▲図5 ある生徒のレポート推移。強い気づきが見つかった1月10日を境に明らかに内容が濃くなっている

今後に向けて

  • 「協働的思考力」の育成に繋がる活動ができつつあるので、「批判的思考力」や教科学力など受験学年だからこそできる活動を増やしていきたい
  • ルーブリック評価や外部評価のGPSを活用して、生徒の成長要因や1つ1つの活動の効果検証を行っていきたい
〈左から〉お話を伺った對馬先生(企画研究開発部主任)、小林先生(進路指導主事) 柴田先生(2年生担当)

〈左から〉お話を伺った對馬先生(企画研究開発部主任)、小林先生(進路指導主事) 柴田先生(2年生担当)

学校情報

福島県立ふたば未来学園高等学校
  • 学科:総合学科
  • 規模:
    • 1年 136人、2年 146人(2016年度)
  • 主な進路状況:
    • 新設高校のため卒業生なし
  • 公立
  • 3年制
  • 共学
福島県立ふたば未来学園高等学校

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