SGH校として、生徒の主体性を引き出す探究活動の実践

栃木県立佐野高等学校・同附属中学校 (栃木県)

公立・中高一貫校・共学
学科:普通科

  • 公立
  • スマートフォン・タブレット
  • コミュニケーション

取り組みのポイント

  • SGH校として生徒の主体性を引き出すための探究活動を実践
  • ICTツールを使い、①外部連携、②探究活動、を推進することで活動の可視化を実現

SGHアソシエイト校指定時代から継続した探究活動を実施

御校がSGH校として活動するきっかけや活動の中で大切にしていることを教えてください

青柳先生 :

元々佐野高校が目指す「グローバルリーダーの育成」という教育方針とSGHの目指す方針が共通しているため活動を進めてきました。

1つの転機になったのは、2015年にSGHアソシエイト校に指定された際に東京海洋大学の小松俊明先生(現グローバル教育統括アドバイザー)にグローバル教育・探究活動の重要性について話を伺ったことです。その時に印象に残り、今でも取り入れている考えは、① 徹底した情報公開、② 積極的な外部連携の2つです。

「徹底した情報公開」を意識した理由は、探究活動やグローバル教育は良い活動でも形に残らずに一時的な効果に留まってしまいますが、活動や成果を形に残し、情報公開することで地域や他校へのPRになりますし、生徒や教員にとっても振り返る機会になると考えたからです。 そこで日々の活動内容をSGH通信として発信したり、メディアに取り上げてもらうなどの活動を大切にしてきました。

 

左より:青柳先生(SGH推進部・生物)、高久先生(SGH推進部・地歴)

 

青柳先生 :

2つ目の「積極的な外部連携」については、小さい取り組みでもとにかくやってみることを意識しました。 今では多くの企業・自治体・大学・高校との連携を行っていますが、当時は1人の大学生や留学生の交流からでも、できることから始めました。交流程度の小さな外部連携でも進めていく中で上手く連携するポイントや効果も見えてきましたし、継続していく中で協力してくれる大学や自治体も増えてきたと思います。 この2点を意識しながら活動を進めたことで、SGHアソシエイト校としての活動が評価され、SGH校として指定されることに繋がったのかなと思います。


SGHアソシエイト校時代から継続しているSGH通信

 

アソシエイト校からSGH校に指定されたことで見直したことや変えた点はありますか

青柳先生 :

SGHアソシエイト校時代に行っていた取り組みの形を継続しているので大きく変えている部分はありません。ただ申請時に最も議論したのが「現状の課題整理」と「探究活動の在り方」についてです。 本校の研究テーマは、学校内だけではなく、大学・高校・企業など様々な関係機関との連携なくして深まりません。

一方でグローバルリーダー育成を掲げていますが、本校の生徒達は消極的な所や受け身に活動する傾向がありました。 そこで、日々の探究活動の中で外部との連携を積極的に進め、生徒の主体性を引き出し、殻を破ってチャレンジする精神を身につけさせることが本校の課題研究の質の向上に繋がると考えました。

このような背景から本校の探究活動は個人ワークではなく、基本的にグループでの活動や外部との連携を強く意識しながら進めてきました。

 

探究活動の中で特に意識している点について教えてください

青柳先生 :

探究活動では「主体性を引き出す」ために3つの点を意識しています。

  • 1点目は、生徒達に目標を持って探究活動をしてもらうため、発表の場や市長へのプレゼンテーションなど大きな舞台を用意することで生徒達の意識を上げています。
  • 2点目は、外部連携として各グループで1人以上の大学生にメンターとして参加していただき、様々な視点の意見を提案いただく活動を進めています。 大学生が入ることで生徒に考えさせる機会も増えますし、教員も全てを指導せずにアドバイスする立場で関わることができます。
  • 3点目は形に残すことです。成果物はもちろん、日々の活動の進捗や大学生とのやり取りも含めてレポートなどの形に残すことで、活動の変化や生徒達の成長が見えるようにしています。

2点目の外部との連携や3点目の形に残す部分はICTツールを使って効率的に進められるように今年から取り組んでいる最中です。

 

佐野高校のSGH構想調書

ICTツールを活用して外部連携+活動の見える化を実現

探究活動の中で特に意識している点について教えてください

青柳先生 :

SGHアソシエイト校時代から大学生や留学生との連携は進めておりましたが、その際に問題になったのは、会える時間が限られていることや、SNSなど教員が見えない状況で生徒達と大学生が連絡をとりあってしまうという状況でした。 そこで今年からClassiを導入し、Classiの校内グループに各探究活動のグループを作成しました。 大学生メンターにもそのグループに入ってもらい、離れていても相談ができる環境を作りました。 生徒達はグループ内で日々の活動のレポートや制作物などの共有にも使っています。 日々の報告・連絡・相談などをClassi内で行うグループも多く、社会人の仕事を体感するような意味でも効果はあると思っています。

運用方法としては、授業の中では各グループに1台ずつセルラータブレットを配布し、Classi係を中心に使わせています。 自宅やフィールドワーク中ではスマートフォンを使っている生徒も多くいますが、特に問題は起きていません。 生徒達は社会人になれば仕事などでもICTツールを使うケースは増えてくるので、「スマホ=禁止」にするのではなく、どう関わるかを考えさせる意味でも価値はあると思っています。

 

SGHのチーム毎にグループを作成し、その中で活動

【SGH活動での生徒のClassi活用例】

  1. 大学生メンターとの交流

    各グループに1人大学生が入り、Classiの校内グループを連絡ツールとして利用

  2. 毎授業のレポート作成

    各グループのClassi係がClassiの振り返りフォームを使って毎回レポート作成を行う(タブレット利用)

  3. 作成物の整理

    グループ内で作成した資料や議論した紙などを写真に撮り、随時UPして蓄積

 

大学生とのやり取りやフィードバックを受けている様子

 

【SGH活動での生徒のClassi活用例】

  1. 活動のフィードバック

    定期的に先生方から現在の活動やルーブリック評価などについてClassi上でフィードバックやコメントを行う

  2. レポート出力とアクション数の整理

    生徒が記載したレポートや作成物を整理して、振り返りなどに活用

  3. アンケート機能を使ったルーブリック評価の実施

    今後の活用として、定期的に行う各自のルーブリック評価の振り返りをClassi上で配信予定

 

グループ内の議論やレポートをアップしている様子

今後の展望についてお聞かせください

高久先生 :

今後はSGH校である以上、「評価」について議論しなくてはいけません。 現在は探究活動や教科ごとにルーブリック形式の評価項目を作成し、生徒達には評価の観点を配布しています。 今までは配布して意識させる程度でしたが、中間発表では、発表を聞いた大学教授や大学生メンターにはルーブリックの評価を客観評価として記載していただき、生徒達には自己評価と相互評価としてお互いのグループで評価をさせあい、その結果をClassi上で共有しました。 それぞれの立場により評価が変わる点など非常に興味深い結果になりました。

 

それぞれのルーブリック評価を共有

 

高久先生 :

中間発表時の評価が点で終わらないように、年末の発表会で同じ項目で評価を行い、変化を見ていきたいと思います。 またルーブリック評価をClassi上のアンケートで取りながら、各グループの意識変化について調査できると、「評価」と「日々の活動」が線となって繋がると感じます。 Classi上の各グループ内に活動時のレポートややり取りが形に残っていますので、ルーブリック評価と日々の活動をリンクさせて総括が出来てくると、どんな活動や取り組みが効果的なのかについて検証でき、探究活動の質も上がるのではないかと思います。

 

Classi上のルーブリック評価アンケート

活動成果

ICTを活用することで、①外部連携、②探究活動の可視化 を実現

  • ICTツールによって、大学生や留学生など普段会えない関係でもClassi上で相談や情報共有が可能になり、元々の狙いだった主体性を引き出すための探究活動の形ができつつある
  • グループ内のレポートや日々のやり取りが形に残るため、探究活動がどのように変化・成長してきたのかが見えるようになった

今後に向けて

  • 外部連携や探究活動の「型」はできてきた。これからはこの質をどう上げていくかを学校全体で考えたい
  • 日々の活動評価をどう形にしていくかが課題になるので、ルーブリック評価を紙とICTの両方で生徒達に浸透させて、検証につなげていきたい

学校情報

栃木県立佐野高等学校・同附属中学校

(栃木県)

学科 普通科
規模

中学校:1年生 104人、2年生 105人、3年生 105人
高校:1年生 160人、2年生 159人、3年生 154人(2016年度)

進路状況

東京工業大2人、国公立大医学部医学科3人、国公立大47人合格 (2016年度)