ICTを活用した授業で「21世紀型高学力」の養成を目指す

聖カタリナ学園高等学校 (愛媛県)

私立・共学
学科:普通科・総合学科・看護科

  • 私立
  • タブレット
  • コミュニケーション

取り組みのポイント

  • 教科授業のICT化を無理なくスピーディーに実現
  • 校内グループの利用で先生間のコミュニケーションを活性化

教科授業のICT化を無理なくスピーディーに実現

ICTを学校に導入した背景についてお聞かせください

平原先生:

大学入試改革も見据えながら、これからの時代を生きる生徒にどういう力をつけてほしいかを検討したとき、「Hybrid教育の実践」「21世紀型高学力の養成」が必要だという考えになりました。これまでの教育にICT機器を活用した教育を織り交ぜることによって、学びへのモチベーションを最大限に引き上げ、これまでも必要とされてきた学力において高いレベルを目指しながらも、「課題発見力」や「成果表現力」といった新しく求められてきている学力も養成していくということです。グローバル教育と併せてICT教育には、今から力を入れていく必要があると考えました。

 

ICT環境はどのように整備されましたか

平原先生 :

2016年度4月に新校舎が完成し、新館にはWi-Fiが整備され、教室には短焦点プロジェクターも設置されています。普通科特別進学コースには全生徒にタブレットを配布していますので、ICTを活用した授業はますます行いやすくなりました。しかし、このタイミングで全てをスタートさせたのではありません。2015年度からClassiを導入し、タブレットを教員から配布・活用するようにしました。ICT化に限らず、新しいことはスピードを持って進めていくことを心がけています。「今年はやめて来年にしておこう」とすれば、また翌年になっても同じように先延ばしになり、結局物事が進まなくなることがあります。よって、最初は特別な設備はなく、「黒板・PC・普通のプロジェクター3台」だけでICT化への取り組みを始めました。その状態から実践・研究をしてきましたので、教員はICT活用をしっかりイメージできた状態で、設備が整った新校舎の完成を迎えることができました。

 

校内ICTスケジュール

 

ICT活用を進めていくステップについてお聞かせください

平原先生:

まずは校内にICT推進委員会を設置し、その中に2つの研究チームを作りました。1つは「教科指導推進チーム」で、教員が授業内でPCやタブレット、プロジェクターといったICT機器を用いることで、どのような魅力ある授業作りができるかを検討しました。各教科内で、教科主任と連携しながら授業のICT化を進めていきました。教科内で共有した指導方法は、委員会を通して、他教科にも発信しながら、学校全体で効率よく授業のICT化が進んでいくようにしました。もう1つは「Classi推進チーム」です。「生徒と担任」という観点でClassiの利用を促進し、スマホやタブレット、PCを使って生徒がClassiに関われる下地作りを行うとともに、「教科担当と生徒」という観点において、Webテストやコンテンツボックスを使った効果的な指導を考えていきました。12月には委員会から研究内容を発表する機会を作り、ICT活用について教員間で情報交換を行いました。

 

第1回  ICT推進委員会

 

具体的な実践についてお聞かせください

平原先生 :

ICT化を推進し校内で広めていくうえで、いかに教員が「ICT活用の効果」を早くシンプルに感じられるかどうかが重要だと考えました。そこで、 「授業での教科学力向上」というテーマで、まずは「授業で使うプリントを投影して、板書の時間を削減する」ということから取り組んでみました。最初はタブレットもなく、PCにプロジェクターを繋いで黒板に投影しました。当初は、黒板に投影するために白黒反転の処理をしていましたが、ある日、偶然その処理を忘れて投影すると、「意外にそのままの投影した方が見やすいね」となり、取り組みがより多くの教員に広まっていきました。今では利用希望者が殺到するため、プロジェクターを校舎の各階に設置できるように台数を増やし、予約表を作って管理するほどになっています。

 

黒板に授業プリントを投影して授業を行っている様子

 

Classiの活用促進をどのように行われましたか

平原先生 :

2015年度の途中から、教員が自由に使えるタブレットを15台用意しました。これでPCを授業に持っていかなくとも、タブレットをプロジェクターに繋いで投影できるようになりました。その過程で、「PCからタブレットにデータを写す」必要が出てきてのですが、ここでClassiの「コンテンツボックス」を利用しました。当初は、無料で使えるオンラインサービスを使う教員もいましたが、教員の特定のグループ(教科や分掌)や生徒への共有・配信もそのまましやすいということで、Classiを使うようになっていきました。これによってPCとタブレットの間で資料を移すことが容易になり、ICTを活用した授業がより行いやすくなりました。また、資料投影以外にICTを活用した授業改善として、動画を使った反転学習の研究等も行っています。そのデータ共有や配信もClassiで行い、教員間でフィードバックをすることで質の高い授業を目指しています。

「コンテンツボックス」にPCで作成した資料を入れておく(イメージ)

 

校内グループで、反転動画を教員間で共有

オープンスクールで、ICTを活用した授業を中学生が体験

ICTを活用した授業について、生徒や保護者の反応はどのようなものでしたか

平原先生 :

生徒の反応はとても良いです。2015年度の夏のオープンスクールでは、ICTを使った授業の体験を中学生にしてもらいました。

流れとしては、

  1. まず英語の教員からウォーミングアップを兼ねた授業を行います

  2. その内容の確認テストとして、Classiの「WEBテスト」で生徒の手元に配布しているタブレットに配信します

  3. 生徒は隣同士で相談しながらそのテストに回答し、提出します

  4. 提出したテストは自動的にClassiの中で採点されます。その採点結果を教員のタブレットから黒板やプロジェクターに投影して生徒にその場で共有し、間違えが多かったものについての解説などを行います

 

中学生からは「おー!」「すごい!」といった声が多く聞かれました。また、保護者にとっては、黒板やプロジェクターに教員が持っているタブレットの画面が投影されたことで、「この学校は授業でICTをうまく使っている」ということが視覚的にわかりやすく伝わったようです。

 

オープンスクールで中学生がClassi「Webテスト」に取り組む様子

 

今後の学習面におけるICT活用の予定についてお聞かせください

平原先生 :

2015年度は教員による授業内での活用を中心に行ってきました。今後は生徒個々の活用にも広げていきたいと考えています。例えば英語科では、英単語テストをClassiのWebテストで実施することにチャレンジします。間違えた生徒が多い単語がどれなのか、Classiの自動採点ですぐに集計できますので、その部分を繰り返し出題するなどして効率的な学習を期待しています。

 

英語科教科会資料

 

また、特進コースの生徒にはタブレットを配布していますので、毎日行っている学習記録を朝のHRにタブレットで入力させる取り組みをスタートします。将来的には、隙間時間で入力できるように指導していきたいと考えています。

 

生徒向け  第1回ICTガイダンス資料 抜粋

 

第1回ICTガイダンスにてClassi「学習記録」を入力する様子

 

生徒がICT(タブレット)活用するうえでの、ルール設定はどのようにされていますか

平原先生 :

学習を進めるうえで有効なアプリであれば、教員の許可を得たうえでダウンロードできるようにしています。これからの時代を生きる子どもたちには、ICTリテラシーをつけることと同時に、「自分が良いと思ったことを相手に論理的に説明し、かつお互いに納得のいく結論に持っていく」という力を身につける必要があります。ICT教育は、そうした力を育成する機会としても有効だと考えています。そのため、生徒には最低限のルールで自主性に任せた利用を促しています。

 

生徒向け  第1回ICTガイダンス資料 抜粋

 

第1回ICTガイダンスにてタブレット運用ポリシーの説明を受ける様子

 

アプリ取得申請書

校内グループの利用で先生間のコミュニケーションを活性化

授業や学習面以外での、Classiの活用についてお聞かせください

平原先生 :

「コンテンツボックス」に資料を搭載するところから派生して、教員間で資料や情報を共有するために「校内グループ」を活用するようになりました。例えば、進路指導部から高校3年生の進路状況をClassiで全教員に共有することを始めました。今までは、自分が担当している学科やコース以外でどう指導しているのか、どのような状況になっているのか、各々が興味関心を持ちながら情報交換する機会はそう多くありませんでしたが、こうしてタイムリーに情報や資料を共有することで、学科やコースを超えて教員の一体感が生まれやすくなりました。また2015年度12月から、校内運営委員会では、管理職の教員が率先して会議資料のペーパレス化にも取り組んでいます。こうしたことも「情報共有のスピードアップ」という点でICTのメリットを生かした活用だと考えています。

 

校内グループで進路状況を教員間で共有

 

校内グループの投稿への「いいね!」

 

昨年からICT化を進めてきたお取組みのポイントと、今後の展望をお聞かせください

平原先生 :

校内のICT化を進めるにあたり、まず教員が使う機能を絞って始めたのが良かったと考えています。そこから徐々にできることが広がったことで、教員は期待感を持って前向きに取り組めるようになりました。生徒個人へのアプローチは、本格的にはこれからです。生徒の家庭のインターネット環境を調査したところ、PC含めて90%以上は環境が整っています。しかし、中には全くインターネットが使えない家庭もあり、そうした生徒には学校のPCで対応できるようにしています。ただ、やはり同じ端末が生徒の手元にあった方がICT活用はしやすいので、今年度から特進コースの生徒にタブレットを持たせています。今後、さらに生徒に還元できるものが多くなるよう取り組んでいきたいと思います。

 

普通科  特別進学コース1年生  指導シラバス

活動成果

ICTを活用した授業に、生徒・保護者の期待が高まっています

  • 授業中に板書をする時間が減り、生徒に考えさせる時間を増やすことができています。 Classiのコンテンツボックスでデータのやりとりがしやすくなっています。また校内グループを通じて、教員間のコミュニケーションも活発になっています。
  • 本校のICT化は、まだまだマラソンで言えば半分も来ていない、走り出したばかりの状態です。振り返るよりも今まさにトップスピードで走っている最中と考えています。しかし、オープンスクールでの生徒・保護者の反応はとても良く、本校への2016年度入学志願者数は前年の2倍近くになり、実際の入学した生徒も前年の1.5倍以上になりました。期待に応えられるよう、これまでの研究成果を生徒に還元していきたいと思います。

今後に向けて

  • Classi「校内グループ」で、生徒の希望進路(志望校)ごとにチームを作る予定です。国内難関大だけでなく、海外進学を希望する生徒たちのチームにも、定期的に情報提供を行います。それとあわせて、生徒間でも同じ志を持った仲間たちと刺激し合って伸びて行ってほしいと考えています。進学実績にも関わる重要な取り組みとして計画・推進していきます。

学校情報

聖カタリナ学園高等学校

(愛媛県)

学科 普通科、総合学科、看護科
規模

1年生 約530人、2年生 約300人、3年生 約300人(2016年度)

進路状況

国公立大9人、私立大229人、短大38人、専門学校64人(2015年度入試)