塾に頼らず生徒の可能性を切り拓く、魅力ある学習環境の整備とは

愛媛県立弓削高等学校 (愛媛県)

公立・共学
学科:普通科

  • 公立
  • スマートフォン
  • アクティブ・ラーニング

取り組みのポイント

  • 紙の宿題からWeb配信へ。教師からの「ひと言メッセージ」を通じて 生徒の学習意欲が向上
  • 教師の集計時間の短縮により生まれた時間で、授業の学習密度を高める

ICT活用により、学習に取り組める環境を整えることができた

ICTを活用するようになった背景についてお聞かせください

 

菊澤先生 : 

塾がない地域でも、ICTと教師の指導力で 生徒が自学自習できる環境を整えてあげたいと考えたからです。全校生徒の62名のうち約30名が船で通学しています。生徒は文武両道を目指し、部活動にもよく励んでいますが、帰宅する船の最終便が19時台のため、効率よく学習時間を確保し学習習慣を身に付けるには、ICTを用いて自宅での勉強が出来る環境を整えるべきだと思いました。

 

玉井先生 :

導入にあたっては、無料で使えるシステムも考えましたが、アカウント発行の手間や、学校指導には馴染みづらい設計になっていたため、学校現場での運用を行いやすいシステムを選択しました。

 

 

朝課外での生徒の回答状況をリアルタイムに確認

パソコン教室で行われている朝学習についてお聞かせください

 

瀬野先生 :

生徒は、事前に配信したWebテストに朝の15分間で取り組んでいます。もともと、毎朝学校で実施している朝課外の目的は、授業で学習した内容に対してのつまずきを探し、その日の授業に反映することでした。昨年度まではテストで取り組んでいましたが、取り組み時間中に生徒の手元で行われているので、解答状況がわかりませんでした。

しかし、Webテストを始めたことで、生徒の回答状況をリアルタイムに確認出来るようになりました。生徒の誤答や無答をその場で確認できるため、正答率の低い問題を授業の冒頭に解説したり、その場で個別に理解できていない生徒にフォローをしたりして、すぐに指導・授業の改善につなげています。

 

生徒のスマートフォン活用で、「旬を逃さない指導」を実践

生徒のWEBテストの回答に対して先生が送っている「ひと言メッセージ」とは?

 

瀬野先生 :
生徒の取り組んだWebテストの正答状況に応じて、ひと言メッセージを送っています。生徒からもやる気になると好評です。スマートフォンでのコミュニケーションに慣れている生徒たちだからこそ、コミュニケーションの在り方を変えることも一つの可能性を感じています。

 

「ひと言メッセージ」が始まった背景とは?

 

瀬野先生 :

生徒に家庭で過ごす様子を聞いてみると、家に帰ってスマートフォンと向き合う時間が非常に多い事がわかりました。逆転の発想でスマートフォンを勉強に活用しようと思い、ひと言メッセージを送信し始めました。取り組みの成果として、翌日学校に来た時に「先生がメッセージをくれたあの問題って…」という感じで、勉強に関する質問のきっかけになっています。

 

理科の実験中にClassi活用。
「実験画像+実験数値」の提出で生徒の主体的な取り組みへ

授業中にClassi活用を始めたきっかけは?

 

玉井先生 :

生徒の情報を一元管理したいと思った時に、Classiは便利でした。生徒の「実験ノート」をClassiのアンケート機能を通じて提出させています。授業後の提出ではなく、授業中に回答を求めることで生徒の授業への参加度を高めることができます。

具体的にはタブレットやスマートフォンを用いて花粉の実験を行い、自分で撮影した花粉の顕微鏡写真と花粉のサイズの計算結果をアンケートで回答させます。提出された画像を印刷し、黒板に掲示して生徒に考察を促します。結果として、結果の集計が即時に行えるため、その場で生徒の考えや理解度を把握することができ、議論や考察の方向をその都度変えることができます。

 

理科の授業中の様子

 

スマートフォンとの付き合い方
今だけを見て「使わせない」ではなく未来を見据え「使い方を伝える」

スマートフォンを活用させることに対して校内でどう検討されましたか?

 

玉井先生 :

今後、インターネットが無くなることは無いと思います。だから、情報教育の一環としても高校在学中に正しい使い方を教えなければならないと思っています。ただし、スマートフォンの活用だけを特別視する訳では無く、デジタルをツールとしてとらえ、紙での学習も併用して行います。ICTを使いこなす力は生徒が社会に出て働き始めてからも必要不可欠だと思っています。

現在は家庭学習や朝学習など授業時間外での活用が中心ですが、今後はさらに授業中での活用についても、考えていきたいと思っています。

 

Webテストの取り組みの様子

実際に使っている生徒の声

Webテスト(朝学習・宿題)を使った感想

 

  • 紙だと日にちが経ってから返ってくるので「どうやって解いたか」も覚えていないけど、Classiだと、すぐに返ってくるので「そういう意味だったんだ!」と理解しやすい
  • 「解いた記憶がある」うちに先生からの「ひと言コメント」が返ってくると解き直して見ようかなという気持ちになる

 

Webドリル(自学自習)を使った感想

  • 紙だと間違えた後にそのままにしていることが多いけど、解いたすぐ下に解説が出てくるので、読んでみようかな?という気持ちになる
  • 使い慣れたスマートフォンだから取り組みやすい。さくっと復習が出来るのがいいところ
  • スマートフォンを触っているので、ついでに解いておこうという気持ちになる
  • 分野ごとの正答率がわかるので、どこが苦手かがよくわかる

 

Webドリルの取り組みの様子(学び合い)

最近の様子

宿題や朝学習をWebテストを使って配信することで、個々の生徒の状況に目を配る指導がしやすくなりました。放課後にはパソコン教室でWebドリルを自主的に取り組む生徒や互いに学び合う姿も見られるようになり、学習時間も増加傾向になりました。

活動成果

  • 生徒のスマートフォン活用学習で質問が増加:家に帰って大半の時間を使っているスマートフォンで問題を解くからこそ、価値があると思っています。紙では出来なかった、取り組みに対するレスポンスの即時性、個別のフォローの充実が生徒の学習意欲を高めているようです
  • 授業1時間あたりの学習密度の高まり:個に応じた指導が充実しました。小テストやアンケートを行い、回答内容を蓄積できるので、指導が積み上がっていると感じます

今後に向けて

  • デジタルネイティブの生徒たちにとってスマートフォンを活用した宿題は親和性があります。 今は全員に対する宿題・課題等で活用していますが、これからは動機づけをして、自学自習している結果、どこで躓いているかがわかるような使い方をしていきたいです
  • 課題を紙での提出からWebテストに切り替えることには勇気が必要でした。しかし、実践したからこそわかったことは、デジタルに慣れた生徒だからこそ、教師が寄り添う手段としてデジタルツールは有効です。教師の想いがあれば、熱量は伝わります。勉強しないからという理由でスマートフォンを取り上げがちですが、教師の指導を伝える手段として有効に活用していきたいと思います

学校情報

愛媛県立弓削高等学校

(愛媛県)

学科 普通科
規模

1学年21名、2学年16名、3学年25名(2016年度)

進路状況

国公立大2人、私立大1人、短大1人、専門学校8人、就職4人(2015年度入試)