私立・5年制・共学
学科:看護科
難波先生 :
Classiを導入したのは2015年なのですが、以前はとにかく家庭学習時間が少ないことが課題でした。出された課題はこなすものの、自分から学習することはありませんでした。また私達教員側も看護実習などが増えると生徒達個別への学習指導に対して手をかけにくい状況があり、生徒達は家庭で学習しない環境になっていました。家で勉強しない代わりに何をしているかと調査すると、スマートフォンを利用したゲームやSNSであることが見えてきました。
家での学習時間を10分でも良いので増やしたいという気持ちで指導を考えた時に、逆の発想で今まで生徒が依存して学習の妨げになっていたスマホを利用して家庭での学習指導を行おうと思ったのがClassi導入時のきっかけでした。
▼看護科全体にClassiを使った学習指導を告知
難波先生 :
本校では専攻科2年次の国家試験での合格が最終目標になりますが、合格以上に看護師として活躍できる人材を育成するために
① 自己を管理する能力(学習やスケジュール)
② 考える力
の2点を意識しながら指導しています。
本校ではClassiは主にスマートフォンを利用していますので、①についてはスマホを使って学習や課題を管理する力を育成できると思いましたし、②については身近なツールだからこそ生徒達の考えや意見を集約するツールに向いていると感じ、学習指導のツールとして導入をしました。
▼難波寛子先生(看護科・看護専攻科)
難波先生 :
本校ではClassiのWebテストを使った課題配信を毎日行っています。以前から定期テストに繋げるため朝の小テスト指導を実践してきました。小テストをしっかり頑張れば定期テストの点数が取れるという仕組みで生徒達を指導してきたのですが、最近は学習時間の減少から小テスト自体がほとんど解けなかったり、ただ答えを写すだけの生徒も多く、小テストを使った指導が機能していない状態でした。そこで日々の小テストに取り組むための第1歩として家庭学習のきっかけになるようにClassiを通じたWebテストの配信を始めました。中学時代から反復練習に慣れている生徒が多かったことや普段からずっと使っているスマートフォンを介した学習指導ということもあり、生徒達にはすぐに浸透したと感じています。
▼難波先生作成資料:Webテスト×小テスト
難波先生 :
成果としては、学習時間が10分未満だった生徒の数が大きく減りました(図1)。常に所持しているスマートフォンで学習が出来るため、スキマ時間を使っての利用が多かったと思います。学習時間が多いわけではありませんが、0分から20分でも30分でも増えたことは指導上も大きかったと思いますし、今まで様々な指導をしてきましたが一番効果があったと感じます。実際に生徒からもClassiを頑張ったら小テストの点数が取れるという声や定期テスト前はClassiを使って復習しているという声も出てきました。
▼図1: 難波先生作成資料:学習時間の変化
2つ目の成果として「計算力の向上」が挙げられます。最終的なゴールである国家試験で、近年計算問題が出題されるようになりましたが、最終学年になってから指導しても直前ではミスは減らず、多くの生徒達が苦戦していました。そこで小テストとWebテストに週1回の計算の日を作ったのですが、指導し始めて半年間でも充分な成果が見られました(図2)。同様に全学年で苦手意識を持ちやすく国家試験にも繋がる「人体の構造と機能」の日も学年共通で始めましたが、授業中指導していても理解が深まったと感じる機会が増えました。週1回でも時間を取ること、Webテストを通じて家庭学習をさせてから小テストに臨ませることで大きな効果が得られることを改めて感じました。
▼図2: 難波先生作成資料:計算力の向上
嬉しかったのは、定期テスト後にアンケートを取った際、Classiを活用できている実感を持った生徒ほど定期テストに対する満足度が高いという結果が出ました(図3)。Classiが家庭学習ツールに根付いたことを示していると思いますし、「Classiで家庭学習を頑張る」⇔「小テストの点数が取れる」⇔「定期テストの点数が取れる」という当初目指していた仕組みが作れたと感じました。
▼図3: Classi活用と試験満足度
難波先生 :
5教科の問題であればClassiに入っている問題を活用すれば良いのですが、専門科目や国家試験の問題などは既存問題にないため、一つひとつ自作で作成せざるをえません。一度作ればその問題を修正したり、使いまわせたりするため便利ではあるものの、学年が上がり教科が多岐にわたったり、外部講師の授業などが増えてくると担任だけで問題作成を行うことが困難になってきました。そこで現在ではWebテストの問題を生徒達に作成させるという運用を始めました。
運用ルールは簡単で生徒達を10班に分けて、グループ毎に担当を決めて校内グループ上に問題を作成させます。教員側の方で見て、良い問題だと思うものを中心にWebテストに搭載したり、少し問題を変えて朝の小テストの問題に搭載して活用しています。コピーするだけで問題が作れるので教員の作成時間も大幅に減りました。
▼学習係からの問題作成のアナウンス
▼生徒達の作った問題をWebテストに搭載
また教員の負荷軽減以上に「考える力」の育成に繋がったと感じています。当初生徒達に問題を作らせると、安易な問題が多く、いかに表面的にしか授業をとらえていないかが見えてきました。教員側から問題を作成するためのポイントを教えたり、良い問題しかWebテストに搭載しないようにしていくと生徒達も問題を作るために授業を理解しようという姿勢をみせ、理解するだけではなく、問題を作る中で生徒同士で話し合うなど考える力の育成にも繋がっていると感じました。
当然の結果ですが、問題を作成した班は担当テストの正答率は高くなりましたし、自分達の作った問題が出題されると生徒達は喜んでいます。生徒達も楽しみながら理解も深まり、教員側の負担も軽減しているのでとてもいい流れができていると感じています。
難波先生 :
当初の狙いであった学習時間0分を減らすという目的は果たせつつあると思いますし、「Webテストを頑張ることが定期テストの結果に繋がる」という指導は浸透しつつあると思います。ただ最終目標である国家試験での合格率を上げることを成し遂げないと効果があったと言えないので、Webテストや定期テストの頑張りが最終的な国家試験に繋がったと示せるように指導していきたいと思っています。
また専攻科になると臨地実習が増え、生徒達と学校で会える機会が減っていきます。現在実習の感想やレポートをClassiのアンケートを通じてためさせているのですが、ICTのよさである遠隔でも指導が出来ることを活かした指導も考えていきたいです。
▼アンケートを使った実習後のレポート
学習時間0分が大幅に減少/計算力も大きく向上
今後に向けて
学校情報
加茂暁星高等学校
(新潟県)
学科 | 普通科、看護科、看護専攻科 |
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規模 | 看護科:1年63人、2年66人、3年68人 |